Joさんの旅情報

ベネチアにて、ベニスの商人

2007年8月31日


坪内逍遥が翻訳したシェイクスピアの「べニスの商人」をそれ以前に翻訳した日本人がいます。
井上勤という明治初期の大阪の英文学者で、その訳本タイトルは『人肉人質裁判』でした。 残念ながら「べニスの商人」というタイトルの付け方の上手さと坪内逍遥の知名度で最初の翻訳は影が薄くなってしまったようです。

ストーリーは最初の翻訳タイトルさながらに展開します。借金の代わりに借りての心臓を担保に入れ、借り手が返せなくなると、貸し手は契約を楯に心臓を要求する裁判を起こします。シェイクスピアは、貸し手を契約内容のみにこだわる冷酷人間として意図的に強調しましたが、当時のベネチア商人は契約という事項をビジネスに取り入れ、その契約の実践によってベニスに繁栄をもたらしたそうです。当時のべニスの商人は複式簿記の帳簿を使いこなし、高度な物流システムを確立していたそうです。
今、出逢う陽気だけが取り柄のベネチアンにそんな立派な祖先があるとは思えないんですが…



Jo


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