Joさんの旅情報

シベリア鉄道

2011年9月


時代をさかのぼること50年。その1960年代、日曜の朝テレビに映るパンナム提供の「兼高かおる世界の旅」で日本の若者は映像を通じて世界を知ることになります。今まで見たことのないヨーロッパの景色や文化、人々に憧れ、行ってみたい夢が膨らんでいったものでした。
その頃の学生には十分なお金もなく、新潟からナホトカまで船で渡り、シベリア鉄道でウラジオストクからハバロフスクを経由してモスクワまで6泊7日の寝台列車でヨーロッパを目指すのが一般的でした。そんな異文化に触れたい若者の夢を叶えてくれるこのシベリア鉄道にノスタルジアを感じずにはいられません。そんな思いから秋のシベリアにやってきました。

透き通るような秋の青空、見渡す限りの白樺の紅葉、日本からわずか3時間のフライトでアムール川(中国名では黒龍江)に沿ってハバロフスクの街があります。その街並みと人々は極東にありながら、ヨーロッパの薫り漂う美しさを持ち備えていることに驚かされました。

ウラジオストクは長崎に似た港街で、極東の玄関口でもありロシア経済の元気を実感します。来年9月にはウラジオストク(ルゥースキー島)でAPEC首脳会議が開催される準備で橋や道路、ホテル等の建設ラッシュで街中が工事現場です。これを見るにつけ、この国のアジアを重要視する姿勢が伝わってきます。そのシベリア鉄道、ハバロフスクからウラジオストクまで一泊二日の寝台列車は設備は豪華とは言い難いものの、多くの若者がこの列車で希望と夢を叶えにヨーロッパを目指したのかと思うと、現代の12時間直行便フライトで行くよりもよっぽど味があり、ロマンチックである事を実感した寝台列車の旅でした。


Jo


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