Joさんの旅情報

「国民総幸福国ブータン」体感分析

2011年7月


いつの頃からか「GNPよりGNH」論が気になって、関係書籍やスポークスマンであるブータン王女の京都での基調演説を反芻してみましたが、こりゃ自分の目で確かめるしかないと思いたったのが今回の旅の動機でした。

ブータンの平均年収は800USドルで、額だけでは最貧国のひとつです。国家予算の40%は外国からの援助で、その内の60%はインド~です。外貨収入は水力発電電力のインドへの売買、その次は観光収入になります。ブータンにある資源は豊富な水量と観光資源しかありません。

ブータンの国を考察するに参考すべきは地理的に横に繋がるネパールとシッキム王国の歴史です。三国ともしたたかな大国インドと中国に挟まれ、西欧型自由競争を選択しカジノまであるネパールでは貧富の差が歴然としてしまい、ネパールは国民投票で王制廃止に至り、政治・経済ともに混迷を極めています。

ネパールとブータンの間にあった小国シッキム王国もネパールの貧しい人が入り、シッキムの王制を廃しに追い込み、調停に入ったインドにあっさり呑み込まれてしまいました。現在はインドの一つの州になっています。

英国で学んだ現ブータン国王は、今頃から一週間遅れで自由経済国家に参入しても勝算はなく、長期鎖国政策で培われた国のアドバンテージである宗教(チベット仏教)と伝統・文化・自然を守りながら、小さく観光立国として生きて行こうとしているのではないかと感じました。

うがった見方かもしれませんが、この国のこれから生きる道としては小規模観光立国を目指すしかなく、世界に「GNPよりGNH」を発信することにより、ブランド力高揚を目指しているのかもしれませんね。ユネスコ世界遺産指定も断るこのブータンに小規模豪華ホテル「アマンリゾート」が五か所もあり、それぞれが自然に素晴らしくマッチングしています。一泊1400ドルで7泊以上が条件ですが、秘境を求める欧米人にとっておきのエルミタージュ(隠れ家)なんですよね。

この国の目指している小規模豪華観光立国の指針を垣間見た旅でした。


Jo


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